バレエで腕を動かしているとき、いつの間にか肩が上がったり、頭が下がったりすることはないでしょうか。
私自身、頭を高く保つことや、肩に余計な力を入れないことを意識してきました。
以前から大切にしていたのは、頭と坐骨が互いに離れていくようなイメージです。
ところが、私の場合、それだけでは胸骨への意識が薄くなり、頭が落ちやすくなることがありました。
そこで新たに意識するようになったのが、胸骨と腕の関係です。
胸骨柄に腕の重さを感じ、そこから鎖骨や腕へと重さが広がっていくようにイメージします。
すると、腕が胸骨からぶら下がるような感覚が生まれ、頭は高い位置を保ちやすくなりました。
この感覚は、アン・ナヴァンやアン・オーで腕を動かしたときにも感じています。
今回は、この身体の感覚を解剖学や運動学の視点から考えてみたいと思います。
頭と坐骨を離すだけでは気づかなかったこと
頭と坐骨が互いに離れていくように意識すると、背骨全体に長さが生まれるような感覚があります。
私にとって、これは身体を無理に引き上げるのではなく、頭と胴体の関係を考えるための大切なイメージです。
ただ、実際に試していると、私の場合は胸骨の存在感が薄くなってしまうことがありました。
そこで、頭と坐骨だけでなく、その間にある胸骨にも意識を向けてみました。
すると、胸骨柄に腕の重さを感じながら、頭は上方へ伸びていくような感覚が生まれました。
頭を直接持ち上げようとするよりも、頭の高さを保ちやすく感じたのです。
胸骨柄から腕がぶら下がるような感覚
私が特に意識しているのは、胸骨柄から腕がぶら下がるようなイメージです。
胸骨に腕の重さを感じ、そこから鎖骨、腕へと重さが広がっていくように考えます。
腕を下に引っ張るわけではありません。
肩を無理に下げようとするのでもありません。
腕そのものの重さを感じながら、胸骨とのつながりを意識する感覚です。
すると、肩をすくめるような余計な努力が減り、顎もぶら下がるように自由になって、頭が高い位置に保たれやすくなりました。
反対に、胸骨や腕が上方へ引き上がるように感じると、私の場合は頭が落ちやすくなることがあります。
これは、私自身が動いてみて感じたことです。
大切なのは、腕を無理に下げることではなく、頭と胸骨、腕の関係を意識してみることだと考えています。
解剖学から見る胸骨と腕のつながり
ここで、身体の構造を少し確認してみます。
胸骨は胸の前面にある骨で、上部には胸骨柄という部分があります。
左右の鎖骨は、この胸骨柄と胸鎖関節をつくっています。

つまり、胸骨は鎖骨を介して肩の骨格とつながっています。
肩は、上腕骨だけで動いているわけではありません。
腕を上げるときには、上腕骨が肩関節で動くと同時に、肩甲骨が胸郭の上で上方回旋し、鎖骨も胸鎖関節で動きます。
こうした複数の関節の協調によって、腕を滑らかに動かすことができます。
このような腕と肩甲骨の協調した動きは、肩甲上腕リズムとも呼ばれています。
国際ダンス医科学会(IADMS)の資料でも、肩の複雑な動きと体幹・下半身とのつながりが紹介されています。
つまり、腕は肩だけで動かすものではなく、胸郭や身体全体との関係の中で動いているのです。
私が胸骨を意識するようになったことも、こうした身体のつながりを感じる一つの方法なのかもしれません。
ただし、胸骨柄に重さを感じることで頭が上がるという直接的な仕組みが、医学的に証明されているわけではありません。
解剖学的に確認できる関節のつながりと、私自身が感じた身体の変化は分けて考えたいと思います。
腕を上げても頭の高さを保ちやすくする
この感覚をバレエで試してみると、アン・ナヴァンやアン・オーでも頭の高さを保ちやすくなりました。

腕を上げるとき、肩を下げ続けようとすると、かえって肩周辺に余計な力が入ることがあります。
実際には、腕を上げると鎖骨や肩甲骨も自然に動く必要があります。
ですから、鎖骨を下げたまま固定したり、肩甲骨を無理に押し下げたりすることが正しいわけではありません。
私が試しているのは、次のようなイメージです。
– 頭は高い位置にあり、首は自由にしておく。
– 胸骨柄に腕の重さや存在感を感じる。
– 鎖骨から腕へと重さが広がるようにイメージする。
– 腕は胸骨とのつながりを保ちながら動く。
– 頭と坐骨が互いに離れていくことも考える。
こうすることで、腕のポジションを保ちながら、頭や首に余計な力を入れずに動けるかを試しています。
もちろん、腕の位置によって鎖骨や肩甲骨の動きは変わります。どのポジションでも同じ状態に固定するのではなく、自然な動きを妨げないことが大切です。
身体の一部分だけでなく、全体のつながりを考える
今回の経験から、頭を高く保つためには、頭だけを意識すればよいわけではないと改めて感じました。
頭と坐骨を離すこと。
胸骨の存在を感じること。
鎖骨から腕へと重さが広がるようにイメージすること。
これらを組み合わせることで、私の場合は頭の高さを保ちやすくなり、腕も動かしやすく感じています。
身体はそれぞれの部分が独立して動いているわけではありません。
一部分を頑張って動かすのではなく、身体全体のつながりを考えることで、動き方が変わることがあります。
今回の方法も、すべての人に同じように当てはまるとは限りません。
まずは無理に肩を下げたり、頭を持ち上げたりせず、胸骨と腕の関係に少し注意を向けてみるのもよいかもしれません。
私自身も、これからバレエの動きの中で試しながら、身体の使い方を探っていきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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