「もっと引き上げてください」
バレエのレッスンで、一度は聞いたことがある言葉ではないでしょうか。
でも、この「引き上げる」という言葉。
分かるようで、実はとても難しい言葉だと感じていました。
一体、どこをどうすれば「引き上がった身体」になるのでしょうか。
私自身も長い間、この言葉の意味を身体で理解することができませんでした。
私が思っていた「引き上げ」は、お腹を使うことでした
以前の私は、「引き上げる」と聞くと、お腹を意識していました。
お腹を下から上へ、スプーンですくうようにえぐるような感覚。

それが、バレエで言われる「引き上げ」なのだと思っていました。
もちろん、お腹を使うこと自体が悪いわけではありません。
身体を支えるために、お腹まわりの筋肉が働くことは大切です。
ただ、私の場合は「お腹をどうにかしよう」と意識するほど、身体全体のつながりを見ることが少なくなっていました。
身体の一部分ではなく、全体を見るようになった
転機になったのは、身体を部分的に変えようとするのではなく、全体の関係を見るようになったことでした。
その学びの一つが、アレクサンダーテクニークの教師。白井幸子先生から教えていただいた身体の使い方です。
先生から学んだことを、実際の動きの中で試しながら、自分の身体で確かめていきました。
そこで少しずつ変わってきたのは、「引き上げる」という言葉の捉え方でした。
以前のように、お腹を一生懸命持ち上げるのではなく、
身体全体の中に自然な長さが生まれる。

そんな感覚に近づいていきました。
私が感じた「引き上げ」は、力で上げることではありませんでした
私が感じるようになった引き上げは、強く身体を引っ張ることではありません。
頭と坐骨。
頭と足。
身体の端と端が、互いに離れていくような感覚です。

頭や肋骨下部は上方向へ。
骨盤や足は下方向へ。
その両方が無理なく釣り合うことで、身体全体が一番長くなるように感じます。
この時、お腹は以前のように「えぐる」ように操作していなくても、自然に長く感じられました。
私にとって、それが先生の言う「引き上げ」に近い感覚だったのです。
しかし、身体全体を見るようになってから、私の中で「引き上げ」の感覚は少しずつ変わっていきました。
それは、どこか一部分を頑張って持ち上げる感覚ではなく、身体全体に長さが生まれる感覚でした。
背骨と背骨の間が離れるような感覚
私が引き上げを感じる時、印象的なのは背骨の感覚です。
背骨と背骨の間が少しずつ離れていくような感じ。

背中はただ反るのではなく、長く、そして広くなるように感じます。
ただ、ここで大切なのは、背中だけを広げようとしないことでした。
以前、背中を意識しすぎると、胸の前側が狭くなることがありました。
私が目指したかったのは、背中だけを広げることではなく、身体の中に自然な空間がある状態です。
胸を張るのではなく、肋骨下部の広がりを感じる
引き上げというと、「胸を張る」イメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、私が感じる身体の変化は、胸を前へ押し出すこととは違いました。
特に感じるのは、肋骨下部です。

これは、白井幸子先生から教えていただいた肋骨下部の呼吸を実践する中で、少しずつ感じられるようになったものです。
息を吸う時には肋骨下部に広がりを感じます。
そして吐く時には、ただ閉じるというより、身体がさらに長くなるように感じます。
身体の中にある空間を保ちながら、上下方向へのつながりが生まれる感覚です。
引き上げを感じると、動きにも変化がありました
このように身体全体の関係を感じられるようになると、動きにも変化がありました。
例えば、

– ルルベが以前より安定する
– プリエで後ろへバランスを崩すことが減る
– ジャンプがしやすく感じる
などです。
もちろん、すべてが「引き上げ」だけで変わったということではありません。
バレエの動きは、たくさんの要素が関係しています。
ですが、身体の一部分だけを頑張るのではなく、全身のつながりを感じることが、私にとって大きな変化につながりました。
自分に合った「引き上げ」を探す
今、私が思うのは、「引き上げ」は誰かから言われた言葉を、そのまま形だけ真似するものではないということです。
大切なのは、適切な学びやヒントを受け取り、それを自分の身体で試していくこと。
私の場合は、白井幸子先生から教えていただいたことを実践する中で、自分の身体に合う感覚を少しずつ探してきました。
引き上げとは、無理に身体を上へ持ち上げることではなく、
身体の端と端が自然に離れ、
身体全体に長さと広がりが生まれること。
私にとっては、それが今感じている「引き上げ」です。
以前の私は、「引き上げる」と聞くと、お腹を頑張って上へ持ち上げることだと思っていました。
しかし、身体全体のつながりを見ながら実践していく中で、私の中での引き上げの感覚は変わっていきました。
まずは立った時の身体のつながりを感じてみる
引き上げを感じるために、特別な力を入れる必要はありません。
まず立った状態で、自分の身体の端と端を感じてみます。
頭と坐骨。
頭と足。

身体を強く引っ張るのではなく、それぞれが自然に離れていくような感覚です。
上へ伸びようとする力と、床へ向かう支え。
その両方があることで、身体全体に長さが生まれるように感じます。
頑張って作るのではなく、身体の変化を観察する
引き上げを意識すると、「もっと力を入れなければ」と思ってしまうことがあります。
私自身も以前は、お腹をどう使うかばかりを考えていました。
でも今は、一部分を無理に変えようとするより、
「身体全体が長くなっているか」
「呼吸ができているか」
「余計な力が入っていないか」
を感じるようにしています。
特に、背中だけを広げようとすると胸の前側が狭くなることもありました。
大切なのは、どこか一部分だけではなく、身体全体のバランスです。
引き上げは、自分の身体で育てていくもの
バレエで使われる言葉には、同じ言葉でも人によって受け取る感覚が違うものがあります。
「引き上げ」も、その一つかもしれません。
私にとっての引き上げは、白井幸子先生から教えていただいたことを実践し、自分の身体で試していく中で少しずつ分かってきた感覚でした。
何かを一方的に作るのではなく、学びやヒントをもとに、自分自身の身体で確かめていく。
その過程が、身体の理解を深めてくれるのだと思います。
まとめ
「もっと引き上げて」と言われても、以前の私は何をすればよいのか分かりませんでした。
お腹を頑張って持ち上げることが、引き上げだと思っていたからです。
しかし今、私が感じている引き上げは、
身体の端と端が自然に離れること。
頭や肋骨下部は上方向へ。
骨盤や足は下方向へ。
その中で、背骨が長くなり、背中が広がるような感覚です。
そして、その結果として、お腹も自然に長く感じられるようになりました。
もちろん、身体の感じ方は人それぞれです。
大切なのは、誰かの感覚をそのまま真似することではなく、自分の身体に合うバランスを探していくこと。
この記事が、「引き上げって何だろう」と悩んでいる方が、ご自身の身体を見つめる小さなきっかけになれば嬉しく思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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