「もっと床を踏んで!」
レッスンでそんな言葉を聞いたことはありませんか?
私は長い間、この言葉を真面目に受け止めていました。
もっと床を踏まなければ。
もっと安定しなければ。
もっと軸を作らなければ。
そう思えば思うほど、足首は固くなり、肩は上がり、首は苦しくなり、なぜか動きは重くなっていきました。
頑張っているのに動きづらい。
安定したいのに苦しい。
自由に踊りたいのに体が固まる。
もしそんな経験があるなら、今回のお話が何かのヒントになるかもしれません。
最近私が考えているのは、
「床を頑張って踏む」
ではなく、
「自分全体を床の上に置く」
という感覚です。
もちろんこれが唯一の正解ではありません。
ですが、頑張るほど苦しくなっている方にとって、新しい入り口になる可能性はあると思っています。
人間は地面の上に置かれている存在
私たちは無意識に「しっかり立とう」とします。
その結果、木のように地面に根を張ろうとしてしまうことがあります。
しかし人間は木ではありません。
私たちは地面の中に埋まっているのではなく、地面の上に置かれています。
だからこそ、必要以上に固定しようとすると苦しくなることがありま

木と人間の違い
バレエは静止する芸術ではありません。
動き続ける芸術です。
そのため、
「固定された安定」
よりも
「いつでも動ける安定」
の方が大切になる場面があるのかもしれません。
私たちは何かをしようとしすぎているのかもしれません
レッスンではたくさんの言葉が飛び交います。
引き上げる。
回す。
伸ばす。
保つ。
支える。
押す。
真面目な人ほど全部やろうとします。
私もそうでした。
足りない部分を探し、
できない部分を修正し、
体中に指示を出し続けていました。
しかしある時、
「命令が多すぎると体は動きにくくなるのではないか」
と思うようになりました。
歩く時、私たちは筋肉一つひとつに命令していません。
それでも歩けます。
体には元々、動くための仕組みが備わっています。
だから時には、
何かを足すより、
何かを減らす方が変化につながることもあるのかもしれません。
「置く」と「脱力」は少し違う
ここで誤解してほしくないことがあります。
「置く」というと、
だらっと力を抜くことだと思われるかもしれません。
しかし私が感じている「置く」は少し違います。
飛行前のドローン。
スタートラインに立つ短距離選手。
発進前の飛行機。
どれも力んでいません。
しかし完全に脱力しているわけでもありません。
いつでも動き出せる準備が整っています。
私がイメージしているのは、そのような状態です。

置く と 脱力 の違い
余計な力みは少ない。
でも眠っているわけではない。
静かな準備が整っている。
そんな状態です。
正しい形を追いかけすぎていないでしょうか
バレエを続けていると、どうしても正解を探したくなります。
先生の形。
上手な人の形。
動画の中の形。
もちろん学ぶことは大切です。
しかし、その形だけを追いかけていると、自分自身の感覚を見失うことがあります。
身体は一人ひとり違います。
骨格も違います。
柔軟性も違います。
経験も違います。
だからこそ、
「私は今どう感じているだろう」
という視点も大切なのかもしれません。
肩は自由でしょうか。
首は楽でしょうか。
呼吸は流れているでしょうか。
もし苦しさがあるなら、それは身体からの大切なサインかもしれません。
レッスンの中で結果を急がない
新しい感覚を試すと、
私たちはすぐ結果を求めます。
今日できた。
今日できなかった。
軽かった。
重かった。
しかし身体の変化は意外とゆっくりです。
昨日まで力で支えていたものを手放す時、最初は不安になることがあります。
以前のやり方の方が安心に感じることもあります。
それは失敗ではありません。
身体が新しい方法を探している途中なのかもしれません。
大切なのは、
正解を探すことではなく、
観察することです。
今日はどうだったか。
先週と何が違うか。
肩はどうだったか。
呼吸はどうだったか。
その積み重ねが大きな変化につながることがあります。
次のレッスンで試してみたい3つのこと
① 頑張って床を踏むのを少し休んでみる
② 足首や膝ではなく、自分全体を床の上に置くイメージを持つ
③ 結果を急がず身体の反応を観察する
まずはこれだけで十分です。
大切なのは上手くやろうとすることではなく、自分の身体に耳を傾けることなのかもしれません。
まとめ
私たちは上達したいと思うほど、何かを足そうとしてしまいます。
もっと頑張ろう。
もっと支えよう。
もっと安定しよう。
その気持ちはとても大切です。
しかし時には、
「足すこと」
ではなく、
「余計な力みを減らすこと」
が変化の入り口になることもあります。
もし次のレッスンで動きが重く感じたら、
「もっと頑張らなきゃ」
の前に、
「私は今、自分全体を床の上に置けているかな?」
と問いかけてみてください。
その小さな問いが、思いがけない軽さや自由さにつながるかもしれません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この記事が皆さまのレッスンのヒントになれば嬉しいです。

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