「背中から吸い、頭頂から吐く」と踊りは変わる
はじめに
頑張っているのに、
なぜか苦しくなる。
引き上げたいのに、
首が詰まる。
回りたいのに、
身体が固まる。
そんな経験はありませんか?
私は以前、
「もっと頑張らなきゃ」
と思うほど、
身体を固めていました。
でもある時、
【呼吸が変わると、踊りの感覚も変わる】
ことに気づきました。
バレエの呼吸は、
ただ空気を吸うことではありません。
呼吸は、
・軸
・引き上げ
・音楽
・空間
・表現
と深く繋がっています。
この記事では、
・なぜ呼吸が止まるのか
・なぜ背中が大切なのか
・呼吸で踊りが変わる理由
を、バレエ目線でわかりやすくお話しします。
一般的な呼吸とは?
一般的な呼吸では、
「横隔膜」
という筋肉が大切だと言われています。
横隔膜が動くことで、
肺が広がり、
自然に深い呼吸ができます。
よく聞く、
・腹式呼吸
・胸式呼吸
も、
この身体の動きから説明されています。
つまり基本は、
【力まず、自然に呼吸すること】
です。
バレエ呼吸との共通点
実は、
バレエ呼吸も土台は同じです。
・呼吸を止めない
・首肩を固めない
・身体を力ませすぎない
ことが大切です。
ですがバレエでは、
そこにさらに、
【空間へ伸びる感覚】
バレエ呼吸は「背中側の下部肋骨」も
バレエでは、
お腹だけではなく、
・背中側の下部肋骨
・脇腹
・肋骨まわり
まで、
立体的に呼吸が広がる感覚が大切です。
私はこれを、
【背中から吸う】
感覚として感じています。
もちろん、
実際に背中へ空気が入るわけではありません。
ですが、
背中側の下部肋骨へ
静かに呼吸が広がるイメージを持つと、
・肩の力が抜けやすくなる
・首が長くなる
・軸が安定しやすくなる
・身体が流れ始める
感覚が生まれます。
特に、
【後ろのウエスト周りが、
ふわっと横に広がる】
ようなイメージを持つと、
わかりやすいかもしれません。

(背中側の下部肋骨へ吸い、頭頂へ抜けるイラスト)
呼吸が止まる瞬間
例えばピルエット前。
「失敗したくない」
と思った瞬間、
呼吸が止まり、
肩が上がる。
背中は狭くなり、
身体は前へ落ちやすくなります。
本番前も同じです。
緊張すると、
人は無意識に身体を固めます。
・視野が狭くなる
・首が詰まる
・背中が閉じる
すると、
呼吸も止まってしまうのです。
だから先生は、
【息して】
と言うのかもしれません。
こんな呼吸になっていませんか?
・肩だけで吸っている・胸を無理に持ち上げている・お腹を固めすぎている・息を止めて回ろうとしている
これらは、
身体を“固定”しやすくなります。
頑張るほど苦しくなる時は、
【呼吸の流れ】
が止まっているのかもしれません。
「頭頂から吐く」とは?
呼吸を吐く時、
下へ潰してしまうと、
・身体が重くなる
・首が詰まる
・動きが硬くなる
ことがあります。
そこで大切なのが、
【頭頂へ抜ける】
感覚です。
頭のてっぺんから、
空へ細く長く抜けていくように吐く。
すると、
・首が長くなる・身体が軽くなる・軸が上へ伸びる・動きが流れやすくなる
感覚が生まれます。
呼吸を意識したい場面
特に呼吸が止まりやすいのは、
・ピルエット前・アダージオ・バランス・ジャンプ前・本番前
です。
そんな時ほど、
呼吸を“頑張る”のではなく、
【流す】
感覚が大切になります。
1分でできる呼吸チェック
レッスン前に、
静かに立ってみてください。
その時、
・肩が上がっていないか・首が固まっていないか・前だけで呼吸していないか
を確認します。
そのあと、
【背中側の下部肋骨へ静かに吸い、
頭頂へ細く長く吐く】
ことを3回繰り返してみてください。
後ろのウエスト周りが、
少し広がるような感覚があるかもしれません。
身体の軽さや、
首肩の感覚も変わってくるかもしれません。
呼吸が流れると踊りも変わる
呼吸が流れる時、
人は「部分」ではなく、
【全身で踊れる】
ようになります。
・音楽が流れる
・力みが減る
・軸が自然に通る
・表現が柔らかくなる
呼吸は、
ただ酸素を入れるためだけではなく、
【身体と空間を繋ぐもの】
なのかもしれません。
最後に
最初から完璧にできなくても大丈夫です。
まずは、
「あ、今呼吸が止まっていたかも」
と気づくだけでも、
身体は少しずつ変わっていきます。
呼吸は、
目には見えません。
でも、
呼吸が変わると、
踊りの空気まで変わっていきます。
背中側の下部肋骨へ静かに吸い、
頭頂へ細く長く抜けていく。
その流れの中で、
身体は少しずつ自由になっていくのかもしれません。
頑張るほど苦しくなる時。
もしかしたら必要だったのは、
【もっと力】
ではなく、
【もっと呼吸すること】
だったのかもしれません。

